公開日:2026.10.01

要件定義とRFPの精度は、集まる提案の質をそのまま左右します。
本記事では、何をどこまで書けば制作会社が正しく見積もれるのかを、記載項目と作り方の手順で解説します。
発注前に決める6つの基準の全体像は、総合ページ「ホームページリニューアル」をご覧ください。
リニューアルの提案が比較できないのは、多くの場合、渡した要件が曖昧だからです。
要件定義書には、現状の課題、目的と指標、対象範囲、機能要件、非機能要件、コンテンツの責任分界、スケジュール、予算枠の8項目を記載します。
RFPはこの要件定義を制作会社向けに整え、提案してほしい内容と評価基準、提出形式を加えたものです。
評価基準を先に明示すると、提案は比較可能になります。
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ホームページ制作専科
ホームページリニューアルで複数の制作会社に提案を依頼すると、金額も内容もばらばらの提案が並ぶことがあります。
どれが自社に合っているのかを判断できず、結局は金額やデザインの印象で決めてしまう。
こうした状況の原因は、多くの場合、制作会社ではなく発注者が渡した情報の曖昧さにあります。
「今のサイトが古くなったので、いい感じに作り直してほしい」という依頼を受けた制作会社は、足りない情報を自社の想定で補って提案します。
ある会社はデザインの刷新を中心に考え、別の会社はCMSの導入を中心に考え、また別の会社は集客の仕組みまで含めて考えます。
前提が違えば、ページ数も作業範囲も金額も変わります。
提案がばらつくのは制作会社の力量の差ではなく、それぞれが違う問題を解いているからです。
比較できる提案を集めるには、制作会社が同じ前提に立てるように、何を作り、何を目指し、どこまでを依頼するのかを文書で渡す必要があります。
その文書が、要件定義書とRFPです。
要件定義書とRFP(Request for Proposal=提案依頼書)は、混同されやすい文書です。
要件定義書は「自社が何を実現したいか」を整理した社内向けの文書で、RFPは「その実現方法を制作会社に提案してもらうための依頼書」です。
| 文 書 | 目 的 | 主な読み手 | 主な内容 |
|---|---|---|---|
| 要件定義書 | 自社の課題と、リニューアルで実現したいことを決める | 社内の関係者・決裁者 | 課題、目的と指標、範囲、機能、非機能、責任分界、スケジュール、予算枠 |
| RFP(提案依頼書) | 同じ前提で制作会社に提案してもらう | 提案を依頼する制作会社 | 要件定義の要約、提案してほしい内容、評価基準、提出形式と期限 |
順番は、要件定義が先、RFPが後です。
要件定義が固まっていないままRFPを書くと、依頼書の中身が曖昧になり、この章の冒頭と同じことが起きます。
要件定義書に書く項目は、次の8つです。
すべてを最初から完璧に埋める必要はありませんが、空欄のままにする項目は「未定」と明記し、制作会社に提案を求めるのか、社内で後から決めるのかを区別しておきます。
| 項 目 | 書くこと |
|---|---|
| 1. 現状の課題 | 今のサイトの何が問題で、なぜリニューアルするのか |
| 2. 目的と指標 | リニューアルで何を実現し、何で成果を測るのか |
| 3. 対象範囲 | どのサイト・ページが対象で、何を残し、何を統合・削除するのか |
| 4. 機能要件 | CMS、フォーム、検索、多言語など、サイトに持たせる機能 |
| 5. 非機能要件 | 表示速度、セキュリティ、対応端末、保守の条件など、品質の基準 |
| 6. コンテンツの責任分界 | 原稿・写真・翻訳・移行作業を、誰が担当するのか |
| 7. スケジュール | 公開希望日と、社内確認・決裁のタイミング |
| 8. 予算枠 | 投資できる上限、または幅 |
最初に書くのは、今のサイトの何が問題なのかです。
「デザインが古い」「スマートフォンで見づらい」「問い合わせが少ない」「社内で更新できない」など、社内で聞こえている声を集めて整理します。
アクセス解析や検索の順位を確認できる場合は、よく見られているページや、問い合わせにつながっているページもあわせて書いておくと、リニューアルで残すべき資産が制作会社に伝わります。
課題を裏返すと、リニューアルの目的になります。
「問い合わせを増やす」「採用の応募者に会社を理解してもらう」「営業資料として使えるサイトにする」など、目的は一つに絞るか、優先順位をつけて書きます。
あわせて、成果を何で測るのかを決めておきます。
問い合わせ件数、資料のダウンロード数、採用ページの閲覧数など、公開後に確認できる指標を選ぶと、制作会社は目的に合った設計を提案しやすくなります。
どのサイト、どのページがリニューアルの対象なのかを書きます。
コーポレートサイトだけなのか、採用サイトや製品サイトも含むのか、英語版はどうするのか。
既存のページについては、そのまま残すもの、内容を直して移すもの、統合するもの、削除するものを一覧にしておくと、見積の精度が上がります。
ページの統廃合は検索評価にも影響します。
移行の考え方は、サイトリニューアルのSEOの専門記事で解説しています。
サイトに持たせる機能を書きます。
自社で更新するためのCMS、問い合わせや資料請求のフォーム、サイト内検索、製品の絞り込み、会員ページ、多言語対応、外部システムとの連携などです。
機能は「欲しいもの」をすべて並べるのではなく、目的に照らして必須のものと、あればよいものを分けて書きます。
CMSの選び方と、公開後に自社で更新できる仕組みは、CMS選定と運用保守の専門記事で解説しています。
非機能要件とは、機能そのものではなく、サイトが満たすべき品質の基準です。
ページの表示速度、SSLなどのセキュリティ、対応するブラウザと端末、アクセシビリティへの配慮、サーバーの条件、公開後の保守の範囲などが該当します。
書かなかった基準は、制作会社ごとに扱いが変わります。
社内の情報システム部門やセキュリティの規定がある場合は、この項目に反映しておきます。
リニューアルで見落とされやすいのが、原稿と写真を誰が用意するのかです。
原稿を自社で書くのか、制作会社に取材とコピーライティングを依頼するのか。
写真は既存のものを使うのか、新たに撮影するのか。
既存ページの移行作業や、翻訳はどちらが担当するのか。
この線引きが決まっていないと、見積の金額に大きな差が出ます。
同じ30ページのサイトでも、原稿と撮影を含むかどうかで作業量はまったく違うからです。
公開希望日と、その理由を書きます。
新年度、周年、展示会、新製品の発表など、動かせない日付がある場合は必ず明記します。
あわせて、社内の確認や決裁にかかる期間も書いておきます。
制作会社の作業期間だけで逆算すると、社内確認で止まった分だけ公開が遅れます。
投資できる金額の上限、または幅を書きます。
予算を伝えると高い見積が出てくるのではないかと心配されることがありますが、予算がわからないと、制作会社は作業範囲を決められません。
予算を伏せた結果、上限を大きく超える提案や、逆に必要な作業を削った提案が混ざり、比較できなくなります。
費用の相場と見積の内訳は、費用の専門記事で解説しています。
要件定義書ができたら、それをもとにRFPを作ります。
RFPは、制作会社が同じ前提で提案できるように、要件定義を依頼書の形に整えたものです。
作り方は5つのステップに分かれます。
第2章の8項目を、社外に出せる形に整えます。
社内の事情や未確定の議論はそのまま載せず、決まっていることと、提案を求めることを分けて書きます。
自社の概要(事業内容、主な顧客、サイトの利用者)も冒頭にまとめておくと、制作会社が状況を理解しやすくなります。
制作会社に何を提案してほしいのかを書きます。
たとえば、サイトの構成案、デザインの方向性、CMSの仕様、スケジュール、制作体制、見積の内訳、公開後の保守の内容などです。
「自由に提案してください」だけでは、提案の形式がそろいません。
必ず含めてほしい項目を列挙し、そのうえで各社の独自の提案を歓迎する形にします。
提案をどの観点で評価するのかを、RFPに書いておきます。
たとえば、目的への理解、提案内容の具体性、類似の実績、制作体制、費用の妥当性、公開後の支援体制といった観点です。
評価基準を先に示すと、各社はその観点に沿って提案を組み立てるため、提案どうしを同じ物差しで比べられます。
配点まで示すかどうかは社内の事情で決めてかまいませんが、観点だけは必ず伝えます。
提案書の形式(ページ数の目安、ファイル形式)、見積書の書式、提出期限、提出先を決めます。
見積書は、作業項目ごとに金額を分けて出してもらうよう指定しておくと、各社の金額差がどこから生まれているのかがわかります。
プレゼンテーションの場を設ける場合は、その日程の候補も書いておきます。
RFPを配布したら、制作会社からの質問を受け付ける期間を設けます。
質問への回答は、質問した会社だけでなく、提案を依頼したすべての会社に同じ内容で共有します。
一部の会社だけが追加情報を持つと、提案の前提がそろわなくなるためです。
集まった提案をどう評価し、制作会社を見極めるのかは、制作会社の選び方の専門記事で解説しています。
要件定義書とRFPを作っても、書き方によっては提案の質が上がりません。
よくある失敗を3つ挙げます。
「CMSを入れたい」「動画を載せたい」「スマートフォンに対応したい」と、欲しい機能だけを並べた要件定義は少なくありません。
機能は手段であり、目的が書かれていないと、制作会社はその機能が本当に必要かを判断できません。
目的がわかっていれば、より効果的な別の手段を提案してもらえることもあります。
機能を書くときは、それが第2章の「目的と指標」のどれにつながるのかを添えます。
原稿や写真、既存ページの移行を誰が担当するのかを決めないまま提案を依頼すると、各社の見積に含まれる作業がそろいません。
その結果、安く見えた見積に原稿制作が含まれておらず、後から追加費用が発生するといったことが起こります。
「どちらが担当するか未定」の項目は、RFPで「両方の場合の見積」を求めると、比較しやすくなります。
第2章の08で述べたとおり、予算枠を伏せると提案の幅が広がりすぎて比較できなくなります。
予算をまだ決めきれていない場合は、「◯◯万円から◯◯万円の間で検討している」のように幅で伝えるだけでも、制作会社は現実的な作業範囲を提案できます。
予算は、提案の質を上げるための情報です。
RFPを制作会社に配る前に、次の点を確認します。
すべてにチェックが入らなくても配布はできます。
ただし、空欄の項目は「未定」と明記し、制作会社に提案を求めるのか、後から決めるのかを伝えておきます。
ホームページリニューアルで比較できる提案を集めるには、制作会社が同じ前提に立てる資料を渡すことが欠かせません。
要件定義書で自社が実現したいことを8つの項目に整理し、RFPで提案してほしい内容と評価基準、提出形式を示します。
提案の質は、発注者が渡す資料の精度で決まります。
要件定義とRFPは、ホームページリニューアルを発注する前に決める6つの基準のひとつです。
体制と進め方、見積の内訳、制作会社の見極め、CMSと保守、検索評価を守る移行を含めた全体像は、総合ページで確認できます。
要件定義書は、発注者と制作会社のどちらが作るものですか?
自社が何を実現したいのかを決める文書なので、発注者が主体になって作ります。
ただし、社内にWebの担当者がいない場合や、課題の整理が難しい場合は、制作会社に要件の整理から支援を依頼することもできます。
その場合も、目的・予算枠・スケジュールといった判断は、発注者が行います。
要件定義書とRFPは、両方作る必要がありますか?
複数の制作会社から提案を受けて比べる場合は、両方あると確実です。
要件定義書は社内の合意を取るための文書、RFPは制作会社に同じ前提で提案してもらうための文書で、役割が違います。
1社にだけ依頼する場合でも、要件定義書は作っておくと、制作会社との認識のずれを防げます。
予算を伝えると、予算いっぱいの見積が出てきませんか?
予算を伝えることで、制作会社はその範囲で何ができるかを具体的に提案できます。
予算を伏せると、上限を大きく超える提案や、必要な作業を削った提案が混ざり、比較ができなくなります。
見積が妥当かどうかは、金額ではなく、作業項目ごとの内訳で判断します。
要件は、どこまで細かく書けばよいですか?
制作会社が同じ前提で見積もれる程度まで書きます。
特に、対象のページと残す・統合・削除の方針、機能の必須とあればよいの区別、原稿と写真の担当は、見積の金額に直結するため具体的に書きます。
デザインの細部や技術的な実現方法は、制作会社に提案を求める部分として残してかまいません。
要件がまだ固まっていない段階でも、制作会社に相談できますか?
相談できます。
現状の課題と、リニューアルで実現したいことが言葉になっていれば、要件の整理から一緒に進められます。
決まっていない項目は「未定」として、制作会社の提案を参考に決めていく進め方もあります。
要件定義とRFPは、ホームページリニューアルを発注する前に決める6つの基準のひとつです。
全体像は、総合ページで確認できます。
発注前に決める6つの基準と、リニューアルの進め方を解説しています。
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要件がまだ固まっていない段階でも、ご相談いただけます。
現状の課題をお聞かせいただければ、要件の整理から一緒に進めます。
社内で要件を整理する前に。リニューアルを成功させるための進め方をまとめた資料をご用意しています。
●ホームページ制作・リニューアル成功の秘訣マニュアル
●リード獲得のWebマーケティング実践【AtoZ】
PT共有の検討資料や社内稟議としてご活用できます。
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アイムアンドカンパニー株式会社 〜設立1999年、創業27年目を迎える〜
代表取締役社長
1956年生まれ 福岡県出身|九州産業大学卒業
江崎グリコ株式会社にて九州支店販売企画課長、本社営業本部営業企画グループ長を歴任し、セールスプロモーション、広告、マーケティングに携わる。TV広告連動のSP展開では、大手広告代理店への発注責任者も務める。
脱サラ後1999年福岡で有限会社オフィス・アイムとして独立、2012年にアイムアンドカンパニー株式会社に組変・社名改変、恵比寿、渋谷から現在の港区赤坂に移転、現在に至る。
同社では黎明期より代表ながらデザイナー、アカウントプランナー、プロデューサーのマルチプレイヤーを務める傍ら、2000年にはオウンドメディアのパンフレット専科の立ち上げからSEOマーケティングを実践主導、リード獲得のWebチャネル確立に25年以上のSEOキャリアを持つ。
獲得した顧客には沖電気、三井化学、ユニ・チャーム、ブリヂストン、日亜化学工業、伊藤忠商事などの大企業はじめ、慶應義塾、早稲田などの総合大学、また古巣の江崎グリコも含み、制作実績は3,000作品に昇る。創業30年に向け、AI新時代のオウンドメディア運用を代表自ら先導する。