公開日:2026.08.07

税理士ホームページ制作【何を載せれば顧問契約の相談につながるか】

税理士ホームページ制作【何を載せれば顧問契約の相談につながるか】のイメージ

税理士事務所のホームページは、単発の依頼ではなく顧問契約という長い関係の入口です。
何年も任せられる相手かを見ている読み手に、体制と料金と考え方をどう示すか。
ホームページ制作専科が、税理士事務所・税理士法人のサイト設計を、
掲載できる情報の整理から具体的に解説します。

この記事のポイント

税理士事務所のホームページ設計は、他の士業と一点で決定的に異なります。
取引形態が顧問契約という継続関係を前提とするため、読み手は個別案件の解決力ではなく、長期にわたって任せられる組織であるかを評価します。
したがって情報設計の軸は、対応領域の広さ、料金体系の透明性、担当体制の可視化、そして事務所の考え方の明示に置かれます。
加えて税理士の広告は、税理士法に直接の規制条文を持たない一方、会則を守る義務(税理士法第39条)を通じて各税理士会の細則および日本税理士会連合会の運用指針が適用されます。
これらの正本は会員に向けて公開されるため、掲載表現の最終判断は所属税理士会への確認を前提とします。
本ページでは、この二つの条件下で成立する税理士事務所サイトの設計要件を整理します。

序章|税理士事務所のサイトは「顧問契約の入口」である

税理士事務所のホームページを設計するとき、最初に確認すべきことがあります。
このサイトが受け止めるのは、単発の依頼ではなく顧問契約の相談だという前提です。

弁護士への相談は、多くの場合ひとつの案件から始まります。
紛争が起き、解決し、関係が終わります。
対して税理士との関係は、月次の記帳から決算、申告、そして経営の相談まで、年単位で続きます。
相続や事業承継のような単発案件もあるが、事務所経営の柱は継続関係にあります。

この違いは、読み手の判断基準を変えます。
依頼者が見ているのは「この案件を解決できるか」ではなく「この先何年も任せられるか」です。

だから、実績の見せ方も、料金の示し方も、体制の説明も、設計が変わります。
長期の関係を前提とした情報が要ります。
単発案件向けのサイト構成をそのまま持ち込むと、いくらデザインが良くても検討の土台に乗りません。

第1章|税理士を取り巻く環境

日本税理士会連合会の公表によると、令和8年6月末日現在で税理士登録者数は82,297人、税理士法人の届出は主たる事務所5,304件、従たる事務所3,134件となっています。

出典:日本税理士会連合会「税理士登録者数」(令和8年6月末日現在)

8万人を超える有資格者がおり、法人という組織形態も5,000件以上が存在します。
依頼者から見れば、選択肢は十分にある状態です。

この環境で問われるのは、規模でも実績数でもなく「何を得意とし、誰のために働く事務所なのか」の明示です。
会計・税務という業務内容そのものは、どの事務所も同じように書けます。
差が出るのは、対応領域の切り取り方と、その伝え方です。

第2章|税理士事務所サイトに載せるべき情報

顧問契約の検討という前提に立てば、載せる情報の優先順位は自然に決まります。

01 対応領域を「業種」と「フェーズ」で構造化する

「法人税務」「相続税」と並べるだけでは、読み手は自分に当てはまるかを判断できません。
業種(医療、建設、飲食、IT など)とフェーズ(創業、成長期、事業承継、法人化)の二軸で構造化すると、読み手は自分の位置を見つけられます。

このとき、扱っていない領域を得意分野として書かないことが前提になります。
実態と表示が乖離すれば、規律の問題になるだけでなく、契約後のミスマッチを招きます。

02 料金体系の透明性

顧問料は継続的な支出です。
金額そのものより「何にいくらかかるのか」が分かることが重要になります。
月次顧問料の範囲、決算申告料の扱い、記帳代行の有無、オプションの区分——境界が明示されていれば、読み手は自分の場合を試算できます。

料金を伏せる判断もあり得るが、その場合は問い合わせ前に何が分かるのかを別の形で補う必要があります。

03 担当体制と顔

長い関係を前提とするなら、誰が担当するのかは中心的な情報です。
代表者のメッセージ、所属税理士とスタッフの体制、有資格者の人数、対応可能な人員。
組織としての継続性を示すことが、個人の力量の訴求より効く場面が多いです。

04 事務所の考え方

会計・税務の説明は他事務所と似ます。
似ないのは、何を大事にして仕事をしているかです。
沿革、理念、経営者に対する姿勢——事務所固有のものは、ここにしかありません。

私たちが手がけた会計・税務コンサルティングの事例では、「多様な専門性」をナビゲーションの冒頭に据え、ミッション・ビジョン・バリューのページを設けて「頭脳集団」という事務所像を打ち出しました(株式会社アクリア 様)。
業務内容の羅列ではなく、組織の性格を先に伝える設計です。

第3章|税理士の広告をどう考えるか

01 規律の構造を理解する

税理士の広告は、平成13年の税理士法改正により原則として自由化されました。
税理士法自体に、広告を直接規制する条文は置かれていません。

ただし自由放任ではありません。
税理士法は次のように定めます。

第三十七条(信用失墜行為の禁止) 税理士は、税理士の信用又は品位を害するような行為をしてはならない。
第三十九条(会則を守る義務) 税理士は、所属税理士会及び日本税理士会連合会の会則を守らなければならない。

出典:税理士法(e-Gov法令検索)

この第39条が要になります。
会則を守る義務を通じて、各税理士会が定める「会員の業務の広告に関する細則」と、日本税理士会連合会の運用指針が適用されます。
細則には禁止される広告や表示できない広告事項が定められています。

02 正本は会員に向けて公開されている

細則および運用指針の正本は、各税理士会の会員向けに公開されています。
したがって具体的な表現の可否は、先生ご自身が所属税理士会の細則を確認して判断する領域になります。

私たちは制作会社として、掲載したい情報を整理し、確認が必要な箇所を洗い出します。
ここは制作会社が代わりに判断してよい領域ではありません。
サイト設計の段階で「確認が必要な表現」を明示し、先生の確認を経て確定させる進め方をとります。

なお、士業全体では広告規律の形式と強度が資格ごとに大きく異なります。
詳しくは「士業の広告規制とホームページ」で解説しています。

第4章|法人化・組織の節目にサイトを作り替える

税理士法人が5,000件を超えて存在するように、法人という形態は標準的な選択肢になっています。
そして組織の形が変わるとき、対外的な発信も変えざるを得ません。

個人事務所から税理士法人へ移行すれば、名称だけでなく、責任の所在、体制の規模、対応できる領域の広さが変わります。
それをサイトに反映しないままだと、実態と発信のあいだにずれが残ります。

私たちが関わった士業サイトの多くも、法人化やCI刷新という節目を契機としていました。
デザインの刷新だけでは足りず、何が変わったのかを対外的に伝わる形へ翻訳する作業が必要になります。

リニューアルの工程と考え方は「士業ホームページリニューアル」で詳しく扱います。

第5章|採用と広報を担わせる場合の設計

税理士事務所のサイトには、顧客獲得とは別の役割が期待される場面があります。
採用です。

有資格者と実務スタッフの確保は、事務所の成長に直結します。
ただし、顧客向けのメッセージと求職者向けのメッセージは前提が違います。
同じページで両立させようとすると、どちらも薄くなります。

私たちが制作した税理士法人の採用サイトでは、意欲ある若年層を対象に、法人・個人の税務から相続まで一貫して手がける体制を「部門を超えて広がる可能性」として提示しました。
所員の写真が流れるファーストビューで職場の空気を伝え、明るい青のグラデーションで印象を統一しています(税理士法人 髙野総合会計事務所 様)。

独立した採用サイトとして設計したことが、この訴求を成り立たせています。
コーポレートサイト内の一ページに収めていれば、この密度は出せません。

採用サイト単体の設計論は「採用サイト制作」で解説しています。

第6章|検索とAIの両面から見つけられる設計

税理士を探す行動は、検索エンジンだけで完結しなくなりました。
生成AIに概要を尋ね、そのうえで事務所の公式サイトに裏を取りに来る流れが定着しつつあります。

このとき効くのは、派手な演出ではなく構造の明確さです。
対応領域の階層、料金の記述の粒度、資格と体制の明示——機械が正しく読み取れる形になっているかが、引用される条件になります。

士業のように情報の正確性が重い領域では、構造の明確さがそのまま信頼性の伝達になります。
具体的な施策は「AI時代に集客力を高める士業ホームページ」で扱います。

終章|まとめ 顧問契約を前提に設計する

税理士事務所のホームページ設計は、顧問契約という継続関係を前提に置くところから始まります。

読み手が見ているのは長期の信頼性です。
だから、対応領域を業種とフェーズで構造化し、料金の境界を明示し、担当体制を可視化し、事務所の考え方を言葉にします。
この四つが揃えば、業務内容の説明が他事務所と似ていても、選ばれる理由は伝わります。

広告表現については、税理士法第39条を通じて所属税理士会の細則と日税連の運用指針が適用されます。
制作段階で確認が必要な箇所を洗い出し、先生の確認を経て確定させる進め方が確実です。

事務所の現状と、これから増やしたい相談の種類をお聞かせいただければ、必要な構成をご提案します。

よくある質問

Q1

税理士事務所のサイトは、他の士業と何が違うのですか。

A1

取引形態が異なります。
弁護士への相談が単発の案件から始まることが多いのに対し、税理士との関係は月次の記帳から決算、申告、経営の相談まで年単位で続きます。
そのため読み手が見ているのは「この案件を解決できるか」ではなく「この先何年も任せられるか」です。
実績の見せ方も料金の示し方も体制の説明も、この前提から設計が変わります。

Q2

顧問料はサイトに掲載すべきでしょうか。

A2

金額そのものより「何にいくらかかるのか」が分かることが重要です。
月次顧問料の範囲、決算申告料の扱い、記帳代行の有無、オプションの区分——境界が明示されていれば、読み手は自分の場合を試算できます。
料金を伏せる判断もあり得ますが、その場合は問い合わせ前に何が分かるのかを別の形で補う設計が必要になります。

Q3

対応領域はどう整理すればよいですか。

A3

「法人税務」「相続税」と並べるだけでは、読み手は自分に当てはまるかを判断できません。
業種(医療、建設、飲食、IT など)とフェーズ(創業、成長期、事業承継、法人化)の二軸で構造化すると、読み手が自分の位置を見つけられます。
ただし、扱っていない領域を得意分野として書かないことが前提です。

Q4

広告表現の可否は、制作会社が判断してくれるのでしょうか。

A4

制作会社が代わりに判断できる領域ではありません。
税理士の広告は平成13年の法改正で原則自由化され、税理士法自体に広告を直接規制する条文はありませんが、第39条(会則を守る義務)を通じて所属税理士会の細則と日本税理士会連合会の運用指針が適用されます。
細則・運用指針の正本は会員向けに公開されているため、具体的な表現の可否は先生ご自身が所属税理士会に確認して判断する領域です。
私たちは掲載したい情報を整理し、確認が必要な箇所を洗い出す役割を担います。

Q5

顧客向けと採用の両方を1つのサイトで兼ねられますか。

A5

兼ねること自体は可能ですが、顧客向けと求職者向けではメッセージの前提が違うため、同じページで両立させようとするとどちらも薄くなります。
採用に本腰を入れる場合は、独立した採用サイトとして設計する方が訴求の密度を確保できます。

 

税理士事務所のサイト設計は、士業全体のWeb設計の一部です。
資格ごとの事情や広告規律の違いを含めた全体像は、総合ガイドでご確認いただけます。


顧問契約の設計と並んで多いご相談が、「広告表現はどこまで許されるのか」と「法人化に合わせてどう作り替えるか」です。
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