1. 採用サイト制作の要件

採用を経営課題として捉える

採用難の環境下で、過熱沸騰気味の採用シーンは、企業にとって非常に頭の痛い経営課題とも言えます。
2021年以降は経団連の採用指針が全面解除されますが、企業にとっての採用環境は益々混沌とすることが予想され、大企業優位、中小企業不利の構造がさらに助長されることは必至です。
その環境下において、いかに自社に即した求職者、新卒性を確保して行くか?
まさに冒頭に言及したように、企業における採用は、もはや企業の持続的成長を占う、経営の根幹に関わる最重要課題の一つと言えます。

企業のアイデンティティを伝える

このような状況下、採用Webサイトは、ありがちな他社サイトと変わり映えしない同様のことや、あまりにも定番すぎるコンテンツばかりでは、学生や一般求職者への刷り込み効果や心理的なフック材料にはなりえません。
だからといって過剰に奇をてらうことはNG、ブランドイメージにそぐわないものもNG、遊びすぎてもNGですので、人事・採用担当者は頭の痛いところです。
その中において、意外と採用サイトで語られないのが、自社のCI(コーポレート・アイデンティティ)やブランディングについて、また採用を企業経営レベルの問題として扱われていないことです。
社員情報、職場情報、研修・人材開発等の情報は充実している採用サイトは多いのですが、創業者の起業エピソード、企業ヒストリー、企業・製品・サービスの社会性・独自性の語り、さらに将来へ向けた事業ビジョンなど、堅苦しくならないよう、学生のインタレストレベルで語りたいものです。
その上で社員の活躍ぶり・社員インタビュー・部門セクション紹介・キャリアパス制度等のコンテンツが存在することを弊社では提唱しています。
CIやブランディング情報に関心や興味を示した学生でも、辞退する者は辞退しますが、その内定辞退を最小限に抑え、その後のミスマッチを削減し、定着にも貢献すること。
やはりそこまでの狙いや目的をもって採用サイトのコンテンツづくりとすることをお勧めします。

これを社長メッセージとして、人事部長としてカジュアルな登場で語っていただくことも選択肢でしょう。コンテンツマーケティング、Web広告、純広告出稿…などの集客策です。

押さえておきたい一般的な採用コンテンツ

以下に採用サイトで取り上げたい標準的なコンテンツメニューを列記しました。ただ前述の通り、たとえ大企業といえども、単に王道を行く採用サイトのコンテンツだけでは、この時代求職者への共感は限定的です。やはり相対的に他社や競合のサイトもベンチマークとし、自社の独自性をいかに学生・求職者に発信するか。ここはしっかりと押さえておきたいものです。

採用サイトのメニュー コンテンツのポイント例
社員インタビュー 各部門の代表を決定し、同社に入社した決め手、現在の日常業務、やりがいや意欲的に取組んでいること、今後のビジョン等。
座談会 部門内、部門間での座談会、または上長とのセッション。 1年生や2年生社員を中心に実施、場合によって5年・10年社員との座談会も効果的。
組織・部門紹介 社員や人事担当者が説明することもいい。
代表メッセージ 企業オフィシャルサイトとは異なり、学生に語りかける姿勢で臨む。服装をビズカジ風にするのも学生に受け入れやすい。 求める人材像、活躍するフィールドなどに言及したい。
人事部長・人事担当者のメッセージ 採用活動、説明会で直接学生と接触する立場なので、自分の採用活動に懸ける熱い想いを語ることも良い。
人材育成・研修制度・キャリアパス なるべく具体的な制度設計、特長を見せる。チャート図やグラフを使って視覚化する工夫も交えたい。
企業風土・カルチャー 単に説明情報だけでなく、社員や人事担当者が語るのもあり。社員に優しいとか和やかな社風…などもいいが、一本筋の通った側面、譲れないことにも触れておくことが大事。
事業内容紹介 わかりにくい事業、見えにくい製品、一般的に馴染みのない業種の場合、学生・求職者にきちんと理解させることが重要。そのためのデザイン表現、コピーによる咀嚼などクリエイティブ性が求められる。
事業や製品の強み・優位性 前段との関連で、自社のアイデンティティを強く印象付けする要素。表現方法も抽象的、漠然としたものは避け、学生・求職者の深い理解を促す。
企業ヒストリー・沿革 企業の発展・進化の過程を年表や図表にしてそのマイルストーンを表現。重さを感じる情報だけに、そう感じさせないタッチが重要。
創業者紹介 創業者の横顔、この会社の創業の理念、起業時のエピソード等をなるべく堅苦しくならないよう工夫。
企業情報 これはこの採用サイトで取り扱うかどうかは検討を要する。
ただ企業の公式情報はなるべく企業サイトへ誘導したい。
課外活動 スポーツ、同好会、レクリエーション、懇親会、社内旅行等の紹介。

企業サイトとの連携・融合

独立した採用サイト

企業のオフィシャルサイトから採用サイトを独立させ運用する方法です。
やはりこのスタイルが企業オフィシャルサイトから一歩踏み出し、オフィシャルサイトのトーンアンドマナーやUI(ユーザー・インターフェース)の枠組みに縛られることなく、裃を付けない自由度のあるリクルートコンテンツを展開することができます。
TOPのファーストビューに採用動画を組み込めば、強烈な印象付けから、求職者・学生にはその企業の採用にかける並々ならぬ想いを必ず伝播できます。
もちろん別ドメインとしますが、企業サイトドメイン内でも独立性は打ち出すことも可能です。次項をご参照ください。

しかしながらここで重要なことは、企業サイトとの連携です。つまり採用サイトが独立しているだけに、企業の本来の公式情報が不足しているため、採用サイトと企業サイトのジョイント部分は明確に見せておく必要があり、採用サイトから企業サイトへの遷移を誘導する工夫も大事なこととなります。
特に上場企業の場合、決算情報やIRに関しては採用では取り上げないため、必ずサイト間連携が発生します。

日亜化学工業株式会社 様|採用サイトTOP
日亜化学工業株式会社 様|採用サイトTOP

独自ドメインの採用サイト

企業サイト傘下の採用サイト

企業オフィシャルサイト内のコンテンツとして採用情報を掲載する場合、ちょっとした工夫で独立感を出すことができます。
簡単に言えば、企業サイトと同一ドメイン内で、企業サイトのUIルールやナビゲーションから外れ、採用サイトとしての独立感を打ち出せます。
もちろん企業サイトへ戻る相互の関係性は強く保ちます。
また同一UI・ナビゲーション傘下で展開する場合、レイアウトやUIルールに拘束はされますが、一定のコンテンツの質量を保てば、決して独立サイトとは遜色無く運用できます。

東亜道路工業株式会社 様|企業オフィシャルサイトTOP
東亜道路工業株式会社 様|企業オフィシャルサイトTOP
東亜道路工業株式会社 様|採用サイトTOP
東亜道路工業株式会社 様|採用サイトTOP

採用サイトとのメディア連携

採用パンフレットとの連携・棲み分け

この採用サイトづくりはそれ単独で効果は絶大ですが、もっと採用の活動全域で俯瞰して捉えた時、採用活動の様々なシーンを効果的に展開するのは、やはりそこで使用する媒体は異なって当然であり、様々な媒体を連携・クロスして活用することが、それぞれの良さを引き出し、シナジー効果を高めることに繋がります。
採用サイトを就活生・求職者が使うシーンは、

●後述する採用ナビからの遷移でのアクセス
●採用エントリーをするための目的
●採用に関する資料請求
●リマインドのためのアクセス

などがあります。

それに対し、採用サイトと並んで、採用媒体群の中で主力となる媒体に採用パンフレットがあります。
この採用パンフレットはエントリー前後の資料請求用、企業説明会・合同説明会、インターンにまで現物媒体として、またポータブルな媒体のため、いつでも誰にでもその場でこの採用パンフレットを通じて企業に触れることができるメリットがあります。

採用サイトと動画の親和性

採用ムービーは採用活動で高い機動力を発揮します。何と言っても企業説明会、合同説明会での上映は参加の就活生・求職者に対し、企業のアウトラインを瞬時に理解させることに長けている媒体です。
ただ動画視聴によりその場で高揚したテンションをそのまま終了後に維持はできませんが、それをリマインドするツールとしてパンフレットやカタログ、会社案内、またWebサイトがその役目を成します。
しかしながらそのWeb、とりわけ採用サイトに採用ムービーを組み込んでおけば、訪問ユーザーはいつでもその動画に出会え、リマインド効果を発揮します。
つまりこのように媒体は単体のみではなく、シーンに応じて適宜投入できるよう、複合展開することが好ましいと言えます。

採用ナビとの関連性

益々厳しくなる採用戦線ですが、昨今では採用ナビにあえて出稿しない企業が散見されるようになってきましたが、やはり良し悪しは別として採用ナビ活用をする場合、情報が採用ナビ完結だったり、その先の自社プロパーのサイトや情報が無いのは、企業の主体性が無いと見られるてもやむを得ないことです。
つまりこの採用ナビ出稿は、就活生・求職者に興味を持たせる突破口の役目やエントリーをさせることに徹し、やはりそこから魅力的で充実した自社の採用サイトに誘導し、余すところなく自社の本質的な良さを語っていくことです。
そこで重要なのが、採用ナビの内容も自社の採用サイトも同じ情報が掲載されているのでは、これは全く無意味な展開です。例えば、 採用ナビでの社員紹介は1〜2名、続く採用サイトは10名掲載、
人事部長のメッセージは採用ナビでは求職者への力強いメッセージコピー、本人写真、本文要約とし、採用サイトでは読み応えあるインタビュー。
あくまで一部ですが、採用ナビとそこから誘導する採用サイトは一定の連動性を持たせたいものです。
両方が同じコンテンツ、またはだと採用サイトを訪問する意味はなく、むしろその場合は採用サイト不要論でもいいほどです。

採用ブランディング

採用ブランディングの取組み

前項の「採用サイトとのメディア連携」で採用サイトと紙媒体やデジタルメディアとの連携だけでなく、採用広報戦略の上流から関与し、メディア展開のコンセプト立案、採用ツールプランニング、キービジュアル策定などから総合的に採用活動をブランディングして取り組んでいきます。
ビジュアルを整えた媒体単体ごとのプロデュースでも一定の効果は期待できますが、採用戦略の根幹から携わることで、アウトプットの各種ツール・メディアにまで、そのフィロソフィーやスピリットを揺るぎなくビルトインすることを可能とし、強力なシナジーを発揮します。
つまりこの取組みは採用ブランディングとして、各ツールの効果的展開により、就活生や求職者の入社意識に強く作用することが期待できます。

採用ブランディングの導入事例

『第一カッター興業株式会社』様の採用ブランディング導入事例

東証一部上場の特殊工事業『第一カッター興業株式会社』様の採用ブランディング導入事例です。
採用ブランディングのコンセプト設計にあたり、ヒアリングのセッションを重ね、

●上場企業でも「知名度が低い」「不⼈気業種」
●毎年⼈材確保は難航を極めている

という課題与件を洗い出し、この課題を克服するコンセプト策定、キービジュアル立案、アウトプットのツール選定とプロデュースに繋げていきました。以下その要約です。

「他社ではできないニッチな専⾨家集団」が同社の強烈な強み。
その中で求める人材は、「学歴や学校の成績は重視しない」「平均点でバランス良くまとまっている必要はない」「最初はどこか尖ってさえいればいい」。
実は現在第一線で活躍する社員も入社時点はこの傾向。今では押しも押されぬプロフェッショナルとなり、現場の作業マネジメントを担い、マルチな能力を発揮できる人材に成長。
また代表者様へのヒアリングから、
「いつかは宇宙に呼ばれるような集団になりたい」
というスケールの大きな夢を語っていただいた。

これらの要件からコンセプトメッセージを打ち立てた。

コンセプトメッセージ

「なによりも、常識の破壊者であれ」
「求めるのは宇宙飛行士のチカラ」

またキービジュアルを「宇宙飛行士」をイメージさせるビジネスパーソンに設定。

キービジュアル
キービジュアル

採用ツール展開

以上のコンセプト設計から採用ブランディングのアウトプットである、各種の採用ツールに具現化しました。特に過去の採用活動の劣勢から、合同説明会にフォーカスした攻めの採用活動に即したツールに落とし込みました。

1. 採用Webサイト
2. 採用ブースのツールデザイン
3. 採用パンフレット

1. 採用Webサイト
第一カッター興業株式会社 様|採用WebサイトTOP
第一カッター興業株式会社 様|採用WebサイトTOP

TOPのイメージはキービジュアルの線画宇宙服を纏う女性ビジネスパーソンと、コンセプトメッセージの「求めるのは宇宙飛行士のチカラ」。社長メッセージへの導線箇所には社長写真と「なによりも、常識の破壊者であれ」のメッセージ。採用ブランディングのコア要素が盛り込まれている。

同、「第一カッターの仕事」ページ
「第一カッターの仕事」ページ

同社様の事業分野を都市の俯瞰図=イメージパースデザインで示した。そもそもわかりにくい事業内容だけに、就活生・求職者には同社様の仕事のフィールドが即効で理解でき、これによりミスマッチも予防できる。

同、「求める人物像」ページ
「求める人物像」ページ

かなり直裁でホンネのメッセージ。打ち立てたコンセプトで築き上げた人材像に迫り、語りかけている。このコンセプチュアルなページの存在がフックとなり、就活生のメンタリティに「何か面白そうな会社」が刻み込まれる。

2. 採用ブースのツールデザイン
合同説明会場のブース演出ツール一式
合同説明会場のブース演出ツール一式

パーテーションセンターの「バックパネル」、その左右は「スタンドバナー」。採用サイトと同様、統一コンセプトは揺るぎなく両ツールに反映されている。

同、「バックバナー」デザイン
バックバナーのデザイン

前出採用サイト「第一カッターのしごと」ページでも紹介した事業分野の都市イメージパースデザイン。就活生は採用サイトで見たビジュアルを合説会場でも出会う体験。

同、スタンドバナーのデザイン
同、スタンドバナーのデザイン
スタンドバナーのデザイン

右が採用サイトのTOPイメージの女性ビジネスパーソン、左は男性のビジネスパーソンをイメージした。

3. 採用パンフレット
採用パンフレット表紙デザインとウラ表紙デザイン
採用パンフレット表紙デザインとウラ表紙デザイン

採用ブースツールのスタンドバナーと同様のデザイン性。実はこの採用パンフレットは、採用サイト【エントリー】ー合同説明会場、その場面で配布されて就活生が最後に目にする媒体。この採用パンフレットは持ち帰ってのリマインドツールの役割。
このプロセスが重要で、やはり包括的に採用ブランディングにて可能となるプロセスづくり、コンセプトづくり。

採用パンフレット|中ページ見開き
採用パンフレット|1ページ:2ページ

この見開きページは採用サイトの「求める人物像」のページを編集した。

採用パンフレット|中ページ見開き
採用パンフレット|3ページ:4ページ

ここは同じく「第一カッターのしごと」のページ。

採用パンフレット|中ページ見開き
採用パンフレット|5ページ:6ページ

社員紹介のページ。現場で活躍する社員を大きくクローズアップして紹介する。同社様の事業ドメインの中心をなすポジションだけにその取扱いは、採用ブランディングを成す、いわゆる全媒体を通じて最も重要なコンテンツ。

採用パンフレット|中ページ見開き
採用パンフレット|7ページ:8ページ

同社様社長が直接就活生に熱いメッセージ。